理念

We serve ice-cold beer!

「冷えたビールを出す」
成長を続けるアネーラ税理士法人

アネーラ税理士法人 代表 藤本周二氏

藤本周二氏

2025年現在、創業27年目を迎えた福岡を本拠地とするアネーラ税理士法人の代表・藤本周二氏。東京、長崎、佐賀、横浜、北九州、福岡市天神に拠点を置き、顧問先2200件、職員数約200名、うち税理士の有資格者31名、公認会計士10名、不動産鑑定士1名、社会保険労務士10名と、税理士の数では九州で一番多い事務所になった。

マンパワーだからこそ「冷えたビールを出す」

アネーラ税理士法人の基本理念は「冷えたビールを出す」です。これは単純に表現すれば、「常にお客さまの立場で考え、行動する」ということで、資本論とは全く違う世界の話です。

同じ立地、同じ規模の2軒の酒の卸店があって、2軒とも居酒屋などの飲食店がお得意さまです。1軒は繁盛していて、もう1軒の方は普通。資本力に差がないのに、この2軒に差が生まれます。では違いはどこにあるのか。

朝に注文があって倉庫からビール出して納品するのは2軒とも同じです。ところが、居酒屋から夕方に注文が入って、繁盛している卸店は冷蔵庫から冷えたビールを出して納品し、もう一方は常温のビールを納品しました。冷えたビールをすぐに提供できるので居酒屋にとっては助かります。

「夕方に注文が入るのだから予想以上に客が多いんだな。であるなら冷蔵庫から出した冷えたビールを納品したほうがいいな」

こういったことに気づけるかどうかです。これは資本論を無視してもお客さまから評価をいただけます。2軒の差はここにあるのです。

私たちはマンパワーで「税務・会計のナレッジ」を提供しているので、規模などの資本力を言い訳にはできません。言い方を変えれば、一人ひとりが「冷えたビールを出せる人間」になることが最も大切だということです。

「成長すること」を目標にする

6年間勤めた監査法人を辞めて、1998年12月に1人で独立しました。顧問先ゼロのスタートでした。幸いなことに前職時代のクライアントから子会社5社の税務を紹介していただきました。これが当所の原点です。

最初は自宅、それからマンションの一室を借りて、しばらくして初めて補助として1人雇用しました。翌年には税理士の有資格者を正職員として採用し、その後も採用し4名体制になったので事務所を移転し、拡張しました。

その頃と今でやっていることはあまり変わりませんが、振り返ると、その後はおよそ5年ごとに事務所を拡張するために移転しました。現在の事務所は昨年(2024年)に移転したばかりで、福岡大名ガーデンシティ10階にあります。「冷えたビール」を出しているうちに拡大していたというだけです。

傍から見ると成長していると思われるかもしれませんが、私個人で言えば、私にもっと能力があれば今の3倍にはできたと自省しています。私自身は日本一になれると思ってやってきたつもりでした。「なぜ、なれないのか」と自問自答する毎日です。

チャレンジというよりは、「自身の成長」がテーマとして常にあります。例えば、死ぬ時に自分の人生を振り返ってどう答えるか。私は「まあまあの人生だった」と答えられる人生でありたいと思っています。そういう意味では、現状はまだまだ成長しないといけないと思うのです。

私も含めて「本当は今の3倍は出来るはずなのに、出来ていない人」がほとんどではないでしょうか。これが日本経済の低迷の背景にあるのではないかと思います。言い方を変えれば努力の方向性が間違っていると思います。普通にやればできることができていない。

例えば、若い人から学べない人が多く、好き嫌いでやっている経営者が多いと思いませんか。私には現状にあぐらをかいて自分自身が成長することを避けているように見えます。そうした経営者は、他人の一点のみの欠点をあげつらって全体を評価しようとしません。社会全体にそんな風潮があり、日本をダメにしているのではないでしょうか。

妬みと嫉みが蔓延している社会ではせっかく才能ある人も潰されてしまう。出る杭は打たれる社会では、成長しません。それぞれが他人の粗さがしをやるより、自分自身の成長を心がければ日本はまた成長するのではないでしょうか。

職員一人ひとりの成長にフォーカス

私自身、そして当所の成長した先にある可能性は規模も含めて無限大だと思っていますが、現状では足場が若干弱い、つまり、まだまだレベルが低いと思っています。その要因は、職員が持っているポテンシャルをまだ生かせていないという現状認識があるからです。

当所では、職員一人ひとりの成長にフォーカスしています。現在の事務所はフリーアドレス(オフィスの座席を固定せずに、従業員が自由に席を選んで働くスタイル)にしました。事務所の風通しを良くし、職員全員が自分の成長のために働ける環境にするための試みです。職員が持っているポテンシャルを生かすこと、それには「成長」が欠かせません。

また、企業文化と呼べるかどうかわかりませんが、当所では来客時に職員は全員立ってお迎えします。自宅にお客さまを迎える時に座ったまま応対することがないのと同じです。中には恐縮されるお客さまもいらっしゃいますが、創業時はマンションの一室で立ってお迎えしていましたので、自然な形で企業文化になっています。

ある会社を訪れて、ドアを開けた瞬間になんとなく会社の雰囲気が伝わってくる経験がありますよね。そういった感覚で自分を見るとどうかと考えていますし、この習慣が「成長」につながってくれていればいいと思っています。

「最高の場所で、最高の仲間と、最高の仕事を」と自然に思えるような事務所になる。そして、お客さまの悩みを解消、もしくは緩和をすることで適切な報酬をいただき、社内全員が幸福になることを目指しています。

究極の目的は「儲け」

日本の企業が儲けてもっと納税すれば、財政規律の問題は起きないはずです。国の歳入の柱である税収が、歳出より少ないことが根本的な問題なのはご承知のとおりです。歳入が足りないから、積極財政によって景気を上げるか、増税する。歳出も減らすべきなのですが。やはり、基本は企業、個人の納税を増やすしかありません。

たしかにトヨタやソフトバンクといった大企業が研究開発税制や組織改編税制を使って節税している分をなくせば、納税額は少しは増えるかもしれませんが、基本的には一般企業が儲からず納税できていないことが問題で、その解決が財政改善のカギを握っています。納税が2割上がれば、財政の問題は解決します。

なぜ儲からない企業が多いのかという話になりますが、儲かる企業になるためには他社との違いを認識して一歩先を行くこと、差別化を徹底することです。「税制が悪い」「景気など外部環境が…」という言い訳をする経営者が多いのですが、それは経営者が悪いのです。命懸けで経営していないのです。

「外部環境のせいにせず、差別化を徹底してやって儲かりましょう」。顧問先の社長さんにはそう呼びかけています。当所自身もお客さまも究極の目的は「儲け」です。

価値を理解していただける企業と

当所は一切値引きをしていません。ダンピングしている同業者が多いなか、自分たちが納得できる仕事をやるためです。

適正な料金体系でサービスを提供するため、コンペになると当所の見積もりが一番高いことがよくあります。料金、見積もりは当然のコストを考慮して出した金額ですから、仕事を取るために値引いてもいい仕事ができるはずがありません。

また、「今の税理士事務所に不満があり、変更したい」と見積もりを依頼されることも多いのですが、現状の報酬額を聞くと、当所の見積もりの半額ほどなのです。報酬が安いということは給与も安い。給与が安いと離職率は高くなり、担当がコロコロ変わり、引き継ぎにロスが生じて不満になっているわけです。これは依頼する側にも問題があるのです。

ですから、いい仕事を提供していくためには、当所の価値を理解していただける企業とお付き合いをさせていただくことになります。

会計士や税理士は「先生」と呼ばれる職種です。私自身はこれにこだわりは全くありませんが、私たちの商品は「税務・会計のナレッジ」ですですから、先生と呼ばれる重みも感じる必要もあります。

私たちは何を期待され、それにどう応えるかを考えることが何より重要だと思っています。私自身も「もっと冷えたビールを出せるように努力していく」ことに、毎日一意専心に努力していきます。